2015年度は,Kinectベースの動的SARシステムを高精度化させると共に,Kinectに依存しない低遅延な計測手法による新しい動的SARの提案を行なった.光学的補正に関しても,ハードウェア組み込みを前提とした高精度化や,より実践的な利用を目指した多視点対応・カメラと観察者視点の切り離しに挑戦した.

○修士論文
高速度赤外カメラを用いた3次元位置姿勢推定に基づく動的な空間型AR

○卒業論文
安価な深度センサによる高精度プロジェクションマッピングの実現
画素間対応を考慮した光学的補正システムの高精度化
視点移動に対応したProCamシステムによる光学的補正
高速な特徴点検出を用いた動的な空間型ARの実現
全周囲投影のための対象形状を考慮したプロジェクタ最適配置


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電通大以外での研究活動.(佐藤研@東工大



image手で持って動かせる物体に対する動的プロジェクションマッピングを実現する研究です.従来は3次元情報が取得できる深度カメラ(Kinect)を用いていましたが,この研究では,高速度赤外カメラを使うことで,低遅延かつ高速な物体追跡を実現しています.物体の初期位置検出には機械学習を用いており,2次元画像だけから物体の3次元位置姿勢を求めています.[Top]

【文献】小林 大祐,小泉 諒,橋本 直己,“深度カメラを用いた実時間姿勢追跡に基づく動的な空間型ARの実現”,電子情報通信学会論文誌,Vol.J99-D,No.3,pp.264-272 (2016).

image本研究では,プロジェクションマッピング技術を応用して,外科手術を補助する仕組みを提案しています.頭部の血管位置を,皮膚上に正確に投影することで,開頭するための位置を精度良く把握可能にします.位置の把握にはKinectを用いていますが,ゲーム用インタフェースゆえの精度の甘さが課題となります.本研究では,Kinectおよびプロジェクタ・カメラを超高精度に構成することで,外科手術のアシストが可能な高精度デバイスに変貌させています.[Top]

【文献】青木耀平,丸山啓介,橋本直己,“安価な深度センサによる高精度プロジェクションマッピングの実現”,映像情報メディア学会技術報告,Vol.40,No.5,ME-2016-24,pp.89-92(2016).

image本研究では,光学的補正におけるフィードバック処理に着目しました.一般的には,カメラを用いたフィードバック処理により,補正精度の向上を計ります.しかし,動画像やインタラクティブな映像を投影する場合には,このフィードバック処理が大きな足かせとなります.そこで本研究では,フィードバック処理を分離して事前に行なうことで,投影時にはフィードバックを用いずに,従来と同等の補正精度を実現しました.[Top]

【文献】北野光彦,橋本直己,“画素間対応を考慮した光学的補正システムの高精度化”,映像情報メディア学会技術報告,Vol.40,No.5,ME2016-2,pp.5-8(2016).

image本研究では,光学的補正において,カメラが常に観察者の視点位置に置かれるという制約を取り除きました.例えば,カメラをプロジェクタと一緒に天井などの見えないところに設置して,あたかも観察者視点から撮影したような映像を得ることを可能にしています(カメラ模擬).このカメラ模擬のためには,観察者の視点位置にあらかじめカメラを設置して情報を取得する必要がありますが,その計測点を複数用意しておき,間を補間していくことで,一定の広さの領域を自由に移動するようなシチュエーションにも対応可能にしました.[Top]

【文献】後藤貴光,河阪幸機,野中敬介,内藤整,橋本直己,“ProCamシステムを用いたカメラ視点に依存しない光学的補正”,映像情報メディア学会技術報告,Vol.40,No.5,ME2016-1,pp.1-4(2016).

image動的プロジェクションマッピングにおいて,対象の3次元位置姿勢をリアルタイムに求めることが重要です.しかし,3次元特徴量の計算には大きな時間がかかるため,現実的な選択となり得ません.そこで本研究では,深度画像中の大きな凹凸に着目し,これを効率的に検出して対応付けする手法を提案しました.左図のマネキンの場合,鼻やあご等の凹凸や,額に装着した突起物の位置を正確かつ高速に追跡することが可能です.凹凸があることが条件ですが,Kinectのみを使って,手軽に動的プロジェクションマッピングが実現可能になりました.[Top]

【文献】庭田直也,橋本直己,“高速な特徴点検出を用いた動的な空間型ARの実現”,映像情報メディア学会技術報告,Vol.40,No.5,ME2016-25,pp.93-96(2016).


image本研究では,模型やマネキンなどを展示する際に,プロジェクションマッピングによって対象全体にプロジェクションマッピングを行ない,好みの着色を自由に再現するシステムの実現を最終目的としています.対象全体に映像投影をするためには,複数台のプロジェクタを組み合わせて用いる必要があるのですが,その際の最適な配置を求める方法を提案しています.投影される映像の物体表面における画素密度を基準として,一定以上の画素密度を対象全体で実現するプロジェクタ配置を求めています.[Top]